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誰か~、誰も~ない Alguien, nadie, alguno, ninguno の用法
不定代名詞の «alguien», «nadie», «alguno, -a, -os, -as», «ninguno, -a, -os, -as» を使って「誰か~」「誰も~ない」を訳すときに気をつけるポイントをまとめてみました。

「誰か~(肯定文・疑問文)」「誰も~ない(否定文)」というときの「誰」は、不定代名詞の ①«alguien», «nadie» ②«alguno, -a, -os, -as», «ninguno, -a, -os, -as» を使って訳しますが、文脈や動詞、構文にあわせた使い方のルールがあります。
まず、不定代名詞①と②の基本的な違いを確認しておくと、
① «alguien», «nadie» は性数不変で、単に「人」をさして使います。
② «alguno, -a, -os, -as», «ninguno, -a, -os, -as» は性数が変化する不定代名詞で、対象範囲(グループ、全体)がコンテクストの中で意識、限定されているなかでの「人」に使います。
※②は動物やモノにも使いますが、ここでは人をさしていることを前提にお話しします。
では、例文を見ながら、①と②の使い方を確認してみましょう。
肯定文・疑問文の「誰か~」と不定代名詞
(a) 誰かいますか~?
¿Hay alguien?
✘ ¿Hay alguno?
シンプルですが、alguien と alguno の違いが分かりやすい例です。
例えば、静まり返ったオフィスに誰かいるかどうかを確認したいときにこのフレーズを使うとします。
ここでは単に人がいるかどうかを聞いているので alguien を使います。対象となる「人」は誰でも構いません。
一方 alguno は、話の流れ(コンテクスト)の中で対象となる「人」の範囲(属性や性質)が限定されているときには使えますが、上記のシチュエーションで使うのは適切ではありません。
次の例でもう少し詳しく説明します。
(b) 誰か来ると思う
Yo creo que alguien vendrá.
▲Yo creo que alguno vendrá.
「誰か来ると思う」という一文だけだと、この「誰か」の範囲(属性や性質)を限定する情報が何もないので、“誰でもよい” alguien を使うのが正しいということになります。
ただし、「誰か来ると思う」と言うまでのやりとりでこの「誰か」の対象範囲が明らかになっている場合は代名詞の alguno が使えます。例えば次のような場合です。
– ¿Sabes si los estudiantes vendrán a la clase opcional de hoy?
– Yo creo que alguno vendrá.
今日の選択授業に生徒が来るかどうか知ってる?
誰か来ると思うよ。
このやりとりでは明らかに話の対象が生徒です。したがって “誰でもよい”「誰か」 alguien ではなく、「生徒のなかの誰か」(alguno de los estudiantes, algún estudiante)ですので、代名詞の alguno を使います。
Alguno, -a, -os, -as は名詞を限定する修飾詞(例:algún estudiante vendrá)として使う場合と、代名詞(例: alguno vendrá)として使う場合があります。
(c) 誰か知っているだろう
Alguien sabrá. ➡不特定の人
▲Alguno sabrá.
これも前項の(b)と同じです。話の流れで対象範囲が 例えば chicos, expertos, estudiantes といった特定のグループだとわかっている場合に 、そのなかの「誰か」➡ Alguno sabrá と言うことができます。
(d) 君たちのなかで誰か知っているだろう
Alguno de vosotros sabrá.
✘ Alguien de vosotros sabrá.
注意:全体の一部をさす「~のなかの誰か」というときに alguien は使えません。Alguno de... です。
例:
alguno de los presentes, alguna de las participantes, algunos de nosotros, algunas de las afectadas.
注意:alguien(ある人、誰か)は性数不変ですが、代名詞の alguno, -a, -os, -as は性・数変化します。
注意:上記の例のように「~のなかの誰か」と言いたいとき、全体が男性形でその一部(alguno, -a, -os, -as)を女性形にするのは正しくありません。
例:✘Algunas de los estudiantes
たとえ、全体は男女混合だけれど、その一部の「誰か」が女性だけなので、そのことを正しく伝えたいという意図があってもです。このような場合でも、concordancia(一致)のルールに従って Algunas de las estudiantes としなければなりません。
※詳しくは concordancia をテーマに別のブログで取り上げます。
否定文の「誰も~ない」 と不定代名詞
「誰か~」は否定文(誰も~ない)になると、«alguien» が«nadie» に、 «alguno, -a, -os, -as» が «ninguno, -a, -os, -as» に代わります。使い方のルールは肯定文の場合と同じです。
(e) 誰もいませんか~?
¿No hay nadie?
✘ ¿No hay ninguno?
最初に比較した(a)と同じシチュエーションです。
ここでは単に「人」がいるかどうかを確認しているので nadie を使います。
コンテクストで「人」の対象範囲が限定されていないので、このシチュエーションで ninguno を使うのは適切ではありません。
(f) 誰も知らないだろう
Nadie sabrá =No sabrá nadie*.
▲Ninguno sabrá.
(c)の比較と同じです。Ninguno sabráは、話の流れで対象者の範囲(~のなかで)が限定されているときの言い方です。
*Nota:Nadie が動詞の後にくる場合は、動詞を否定する no が必要です。Ninguno も同じです。
(g) 君たちのなかで誰も知らないだろう
Ninguno de vosotros sabrá.
No sabrá ninguno de vosotros.
✘ Nadie de vosotros sabrá.
これは(d)例と同じです。
注意:全体の一部である「誰も~ない」というときに nadie は使えません。Ninguno de
~を使います。
例:
ninguno de los presentes, ninguna de las participantes.
(h) 誰も完璧ではない
Nadie es perfecto.
▲Ninguno es perfecto.
これまで見てきたように、Ninguno es perfecto は文脈上、範囲が限定できているグループの中で「誰も~ない」という場合の言い方です。
例:Ninguno (de los jugadores de este equipo) es perfecto.
(このチームの選手のなかで)誰も完璧ではない。
脈絡なく、いきなり "Ninguno es perfecto" と言ったら、 ¿Ningún qué? と聞き返されることでしょう。
一つ補足しておくと、人のことを話していることが明らかでない場合、Ninguno es perfecto を「誰も完璧ではない」と訳すのは無理があります。「完璧なモノはない」=Nada es perfecto と解釈するのが自然です。動詞が saber や pensar なら行動主体が「人」だと想像がつきますが、ser ではそれができません。いずれにしても、脈絡なく、いきなり "Ninguno sabrá" というのはおかしなスペイン語です。
(i) 誰も彼女を説得できない
Nadie la puede convencer. No la puede convencer nadie.
=No hay quien la pueda convencer.
▲Ninguno (de su entorno) la puede convencer.
ここまでくればもう説明は不要ですね。
まとめ
不定代名詞を使って「誰か~」 や「誰も~ない」と言うときには
① 話の流れで対象範囲が限定されたグループ内のことを言っているのかどうか
② 動詞
③ 構文
に気をつけるようにしましょう。
(2021年11月現在の情報に基づきます)